金払ってレシートもらってるようなモン
いつのまにかサイフの中に
溜まっていく現代のマドハンドことレシート。
ついついためちゃいガチなレシートの束をドサッと捨てる。
その前になんとなく何を買ったんだろな、と読んでしまう。
最寄りのスーパーでビールやオヤツ、徒歩5分のセブンイレブンでコーヒー、自転車30分の役所で住民票。
まだいたのかディズニーシーのお土産、何がやりたかったんだガストで山盛りポテトのみ、誰がいたのか最早忘れた居酒屋、すでに買った現物は使い切ったドラッグストアのメンソレータム…その他靴下やら何やら…
↑日時で並べてます
そんな作業をしているとある感覚が蘇る。
これ、日本史をウキウキ勉強してたときの感覚や...
人物の足跡を追うように、自身の足跡を追う。
いい感じにレシートに明記されている日時がトビトビなのもポイントだ。年表っぽさが出る。
そうだ!いつぞやのディズニーシーで、かの王様は言っていた。
「イマジネーション!」
最早忘れ去っていた過去を取り戻さん勢いで
レシートの文字に目を凝らす。過去はイマジネーションで補完する。
僕のレシートだからこのレシートでどう遊ぼうが自由だ。
むむ!この居酒屋のレシートの両脇が赤い線で彩られている!
どうやらロール紙がギリギリだったようだな...
確かこのときは、大学演劇時代の友人Aと飲みに行き、頼んだホッケがデカかった...
やや!ビール買っているクセに野菜ジュース買ってやがる!
おそらく酒を飲むことに対する悪あがきで手に取ったのだろう、しかも78円でお買い得。
げげ!このレシート、クーポンついてる!今どきいるのか使うヒト!
そもそもアプリやポイントカードがあるせいで出すのが躊躇われる。
スマホ見せて、カード見せて、レシート見せられた日にゃ店員にバックヤードで、
見せ値引きマンというあだ名が付くに違いない。いや、つけられてるかも...?
一つ一つレシートの歴史を回想、捏造を繰り返す。
レシート表面で爪を磨くとキレイになるトリビアを思い出し、磨いたりした。一つ美しくなった。
近年、若者は浪費をしなくなったと言われるがそんなことねーよと言えそうなレシートまで発掘されたり、
気づいたら我がイヌが貴重な歴史的資料(ホームセンターのレシート)をこれでもかと破いていたり、
突然、間違い電話が来たりした。
日は傾き、夕暮れとなった。
イヌは「旦那、そろそろあの時間ですぜ」と言わんばかりに目の前でおすわり待ちポーズ。
近づく散歩リミット。イヌはリミットが近くなると次第にソワソワしてくる。
そこから5分、作業を終えた。総計4時間。ほぼイマジネーションの割合がほとんどだ。
途中、疲れからか「このドラッグストアはレジの美人店員さんが俺に惚れている」などとても都合の良い純愛が描かれた。(※イマジネーションです)
そして気づいた。
間違いなく実際に買った現物よりレシートを楽しんでいる。
買って商品を楽しむのが道理なはずが、
むしろ確かにあなたコレ買いましたの方に気持ちが向いている。
もしかしたら僕はレシート欲しさに買い物をしていたのかもしれない。
誰かにあなたリンゴ買ったんですよとレシートを渡されたら、あー買ったんだーとなるかもしれない。
そいつは横で自分の買ったリンゴをかじっていたりして。
今日もコンビニへ行くとしよう。レシートを貰いに。
はい終わり